
家購入予算の計算方法はどう進める?安心の資金計画を立てるコツ
家を購入しようと考えたとき、「どのくらいの予算で探せば良いのか」と悩む方は多いものです。予算を正しく計算しないと、思い描いていた住まいが手に入らなかったり、購入後の生活が苦しくなってしまうこともあります。この記事では、初めて家を購入される方でも分かりやすいように、家の購入予算の考え方や計算方法について解説します。自分やご家族に無理のない計画を立てるための基本を、ひとつずつ丁寧にご紹介していきます。家づくりの第一歩を、安心して踏み出しましょう。
予算の基本構成を理解する
初めて家を購入する皆さまにとって、予算を立てる第一歩は「自己資金」「住宅ローンの借入可能額」「諸費用」の三つの要素の理解です。これは信頼できる専門家も強調する重要なポイントです。たとえば、予算は、借入金額と自己資金を合算し、そこから諸費用を差し引いて考えることが基本となります。
ご自身で用意する「自己資金」は、物件価格の1〜2割を目安とするのが一般的です。国土交通省の調査によると、注文住宅では約23.5%、分譲戸建てでは約20.9%が自己資金として利用される傾向にあります。
一方、「諸費用」は物件価格に対して約5〜10%程度が目安です。たとえば、3,000万円の物件を購入する場合、150万円から300万円程度を別途見積もっておく必要があります。諸費用には、登記費用、保険料、税金、事務手数料など多くの項目が含まれており、必要な費用を見落とすと当初の予算を大きく超えてしまうおそれがあります。
以下の表は、予算の三要素をわかりやすく整理したものです。
| 項目 | 目安 | 内容 |
|---|---|---|
| 自己資金 | 物件価格の1〜2割 | 頭金として使う自己資産やご家族からの援助 |
| 住宅ローン借入可能額 | 残りの必要額 | 金融機関から借りられる金額 |
| 諸費用 | 物件価格の5〜10% | 登記・税金・手数料などの諸経費 |
諸費用を十分考慮に入れずに計画すると、必要な自己資金が足りず、あとから支払いに困る事態を招きかねません。そのため、最初から余裕を持った予算計画を立てることが大切です。
年収から無理なく返せる予算を導き出す方法
まず「年収倍率」は、住宅ローンの借入金額が年収の何倍になるかを示す指標で、一般的には5~7倍が目安とされています。これは「フラット35」利用者の所要資金(購入価格や自己資金を含む)で得られた実績値に基づいており、比較的現実的な数字です。例えば年収400万円では、おおむね2,000万~2,800万円が目安となります。
一方、「返済負担率」は、年間のローン返済額が年収に占める割合を示す指標で、目安は20~25%です。年収500万円の場合、年間返済額は100万〜125万円、月々では約8万~10万円程度となります。この数字をもとに、無理のない返済計画を立てることが重要です。
では、両者を併せたシミュレーションの例を表として示します。
| 年収 | 年収倍率(5〜7倍)での借入額の目安 | 返済負担率(20〜25%)での年間返済額 |
|---|---|---|
| 500万円 | 2,500万円~3,500万円 | 100万~125万円(月々8万〜10万円) |
| 600万円 | 3,000万円~4,200万円 | 120万~150万円(月々10万〜12.5万円) |
| 700万円 | 3,500万円~4,900万円 | 140万~175万円(月々11.6万〜14.6万円) |
このように、年収倍率による借入可能額と、返済負担率による月々返済額の両方を確認することで、「借りられる金額」と「無理なく返せる金額」の両面から判断できます。重要なのは、金融機関が示す借入可能額をそのまま計画にするのではなく、ご自身の家計や将来の支出を見据えて返済負担率を基準に予算を設定することです。
月々の返済可能額から予算を逆算する方法
家を購入するにあたり、まず「毎月いくらなら無理なく返済できるか」を考えることがたいへん重要です。家計に負担のない返済額の目安として、多くの金融機関では「返済負担率」を重視しています。返済負担率は、年収に対する年間返済額の割合であり、一般には20%〜40%の範囲ですが、特に25%以内に抑えると安心とされています。たとえば年収500万円の方の場合、返済負担率を25%と設定すると年間125万円、月々では約10万4000円が目安になります。20%ならば月々約8万3000円となります。家計とのバランスを踏まえた上で、無理のない返済額を設定しましょう。
つぎに、「月々返済額×12ヶ月×返済年数(例:35年)」によって、おおまかな借入可能額を逆算できます。実際の金融機関のデータを参考にすると、たとえば月々7万円、返済期間35年、金利2%の場合は借入額は約2113万円、金利0.5%なら約2696万円になります。金利や返済期間によって大きく異なるため、具体的な試算にはシミュレーターの活用が便利です。
そして、手元資金をしっかり残しながら計画を立てるには、ローン返済以外の支出も考慮する必要があります。たとえば、修繕費や管理費、固定資産税などを含めた「毎月の住宅費用」として考える方法です。たとえば、修繕・管理費用が月4万円、固定資産税などが月1.7万円の場合、住宅にかけられる毎月の費用が15万円であれば、住宅ローン返済額はおよそ9.3万円となります。この余裕を持った設計によって、将来的な家計の変動にも対応しやすくなります。
下表は、月々返済額と返済期間、金利によって変わる借入可能額の一例です:
| 月々返済額 | 返済期間 | 金利 | 借入可能額の目安 |
|---|---|---|---|
| 7万円 | 35年 | 2% | 約2113万円 |
| 7万円 | 35年 | 0.5% | 約2696万円 |
| 10万4000円 | 35年 | 2% | ≒3140万円(試算例) |
(注:最後の行は、年収500万円・返済負担率25%による月々10万4000円を元に簡易算出したものです)
このように、返済の上限を自分の月々支払い可能額から逆算して設定することで、購入後も安心できる予算を立てられます。手元資金に余裕を残し、将来の変化にも対応できる計画を心がけることが大切です。
予算計算の精度を高める工夫と注意点
住宅購入において予算の精度を高めるためには、さまざまな条件を慎重に検討することが大切です。
まず、〈金利タイプ〉や〈返済期間〉の違いが、毎月の返済額や総返済額にどのように影響するかを理解しましょう。たとえば、借入期間を長く設定すると月々の負担は軽くなりますが、利息が膨らんで総支払額は増加します。一方、金利がわずかに違うだけでも返済負担に大きな差が生じることもあります。複数の条件でじっくりシミュレーションすることが重要です。例えば、金利1%差よりも返済期間を10年延ばしたほうが月々の負担軽減に大きく寄与することもあります。金融機関の住宅ローンシミュレーションなどを活用して、計画的に予算を組み立てましょう。
つぎに、将来のライフプランや突然の支出(生活防衛資金など)を加味した予算設計が重要です。住宅ローン返済だけではなく、子どもの教育費や介護費、修繕費なども考慮し、余裕を持って計画しましょう。返済比率は手取り年収の20~25%を目安とし、無理のない返済計画にすることで、将来的にも安心して生活できます。
さらに、具体的な相談先として〈ファイナンシャルプランナー〉の活用をおすすめします。住宅ローンの金利比較だけでなく、ご家庭のライフイベントや収支構造を含めた資金計画を立てる際に心強い味方となります。相談のタイミングは、予算案が固まった段階や、新たなライフプランが決まった時期です。専門家と伴走しながら、安心できる資金計画を完成させましょう。
以下に、上記内容をまとめた表を示します。
| 工夫・注意点 | ポイント | 目的 |
|---|---|---|
| 金利タイプ・返済期間の比較 | 複数パターンでシミュレーション | 返済負担と総支払額のバランス把握 |
| ライフプランの見通しと生活防衛資金 | 年収に対する返済比率20~25%目安に設定 | 将来の支出に対応できる余裕の確保 |
| ファイナンシャルプランナーの活用 | 具体的な相談・伴走型サポート | 包括的で現実的な資金計画の実現 |
まとめ
家を購入する際の予算計算は、自己資金や住宅ローンでどこまで支払えるか、さらには諸費用の見落としがないかなど、さまざまな視点で整理することが重要です。年収倍率や返済負担率といった指標を活用すれば、現実的な返済計画を立てることができます。毎月の無理のない返済額を決め、その範囲で資金計画を逆算することも失敗しない家購入のコツです。また、金利や返済期間の違い、将来の生活や万一の支出まで見据えて、慎重に検討を重ねましょう。自分に合った予算を知ることで、不安なく家探しを進めていただけます。家購入を安心して進める第一歩として本記事がお役に立てば幸いです。
